全部を聞き取ろうとしなくて、大丈夫です。今日のウェビナーで話した、リスニングの本質と練習法をまとめました。
今日のテーマはリスニングです。ただ、前半はけっこう「話すこと」の話になります。リスニングと話すことは、実はかなり連動しているからです。
リスニングって、「とにかく聞き取れるようにするもの」だと思われがちです。でも実際は、自分が言えるようにした音の数と、聞けるようにした経験値——この2つの積み上げで決まってきます。
そして、その積み上げを止めてしまう一番の原因が「焦り」です。「いつになったら聞き取れるんだろう」と考えているうちは、なかなか前に進めません。
今日はその焦りから抜け出して、リスニングを楽しく積み上げていく方法を、一緒に見ていきます。
Masaが実際に話している録画です。下には「読んでわかるまとめ」も続きます。お好きなほうからどうぞ。
※ スマホでは画面の文字が小さく見えることがあります。その場合は下のまとめをご覧ください。
ウェビナーの最初に、みなさんにこの質問をしました。結果はこうでした。
「あまり使えません」が約50%、「時間はあるけど使えます」が約33%、「すぐ使えます」はほとんどゼロ。
覚えたはずの英語が、なかなかパッと出てこない。これはみなさんだけの悩みではなくて、ほとんどの人がぶつかるところなんです。
では、なぜこれが起きるのか。カギは「インプット」と「アウトプット」、それぞれの意識にありました。
Masaは新しい表現を覚えるとき、実はかなり厳しく「これ、本当に使うかな?」でふるいにかけています。
覚えるのは、この2種類だけでいい、という考え方です。
逆に「汗をかく」「毛を抜く」みたいな、なくても会話が成り立つ言葉は、初心者のうちは無理に覚えません。
日本語をChatGPTで英語にしてもらって、それをひたすら覚える——これはけっこう危険な勉強です。本来覚えなくてもいいものまで、どんどん頭に詰め込むことになるからです。
英語を話すとき、頭の中にこの2つの部屋があると考えてみてください。
今まで覚えてきた単語が、ごちゃっと置いてある部屋。ここに入れておくのは大丈夫です。ただ、ここから直接しゃべろうとはしません。
本当に使える、パッと出てくる言葉だけを置く部屋。会話はこの部屋の言葉だけですると決めると、驚くほど思考がシンプルになり、スッと言えるようになります。
「実践の部屋にあるものだけで話す」と決めると、その言葉の出す速さ・発話スピードがどんどん上がっていきます。少ない道具を、速く使えるようにするイメージです。
「昨日何したの?」と聞かれたとき、頭の中で起きていることが、話せる人と詰まる人でまるで違います。
まず日本語で具体的に考える → それを全部英語に翻訳しようとする
「映画館に行って、友達と〜」を全部訳そうとして、焦りが出て止まってしまう。
自分が持っている言葉だけで、組み立てて終わらせる
I went to the gym, and I exercised, and it was fun. これで終わり。ピリオド。
英会話は「思いついた日本語を、速く英訳するゲーム」ではありません。自分がすでに持っている単語だけで、どこまで会話をつなげられるかというゲームです。シンプルな言葉で話せば、相手もシンプルに返してくれるので、リスニングもぐっと楽になります。
テクニックの前に、これが何より大事です。
「いつになったら話せる/聞けるんだろう」と考えるのは、常に自分に足りないものを数える引き算の発想。ずっとマイナスで、つらいままです。
昨日の自分より、何ができるようになったか。その「差分」「成長した部分」を見る。ここに余裕を持てるかが、すべてです。
「何が足りないか」を数えるのをやめて、「何をできるようにしたか」を数える。積み上げ思考に切り替えると、英語学習はだんだん楽しくなってきます。
つきつめると、リスニングで最後にものを言うのは、この2つの掛け算です。
教科書を全部丸暗記して満点、なんて無理ですよね。リスニングも同じです。全部を聞き取ろうとしない。「1000ページのうち150ページはできるようにした。だから本番では3割くらい聞き取れたらいいな」——このくらいの気持ちで生きていくのが正解です。
プログラムでお伝えしている流れは、基本的にこの順番です。
いちばん効果が出やすいのは、発音スピードを上げること。努力に対して成果を感じやすいのがここです。そしてその答えが、シャドウイングになります。
シャドウイングは、単に速く言う練習ではありません。「一つのかたまりとして捉えられる量」を増やすゲームです。
ネイティブは、実はそこまで速く話しているわけではありません(日本語のほうが速いくらい)。彼らは8〜10単語をひとかたまりで処理しているだけ。2単語ずつで捉えている人とは、軽量級と重量級が戦うようなもの。だから、自分が一度に捉えられるキャパシティを、少しずつ広げていく必要があります。
かたまりで速く言うには、発音の出し方そのものを、日本語から変える必要があります。
日本語の特徴は、口先から音を出し、息が止まっていること。I / was / on / the / train と、1個ずつハッキリ切ってしまいます。これだと英語はきれいに流れません。
「もう次、何をすればいいの?」という人へ。やることはシンプルに2つです。
何でもいいので、自分が興味を持てる動画を1本。「ネイノゥ…」としか聞こえなかった音を、字幕で確認して「こう言ってたのか」と分かるようにしていく。これを1本ずつ増やしていきます。聞きたい領域(例:スポーツ選手のインタビュー)があるなら、そこに特化した動画を選ぶのがおすすめです。
動画の中で「これ、絶対使うわ」と思ったセリフ(例:We're getting off/今降りるよ)を見つけたら、そこをネイティブと同じスピードでシャドウイング。自分の「言える語彙リスト」に追加していきます。日本語を挟まずに、英語のまま語彙が増えるのが、この方法の強みです。
最初のスタートとしては、「English with 〜」系の、先生が一人でやさしい英語を話してくれるチャンネルがおすすめ。「Today I'm gonna talk about 〜」のような、そのまま使えるフレーズがたくさん拾えます。
言語は、積み上げてきた自分のポートフォリオで、目の前の人と理解し合える範囲をどれだけ大きくするか、というゲームです。その積み上げていく感覚を楽しむ——それ以外に、成長の仕方はありません。今日からもう、本番のテスト対策は始まっています。
このページは、受講生限定ウェビナーの録画をもとに、内容をそのまままとめたものです。動画とあわせて、復習にお使いください。質問や「ここが疑問だった」という点があれば、担当の先生までお気軽にどうぞ。